八木澤くんは不器用に想う
「射的って簡単そうに見えるけど、
難しいの?」
「やってみればわかるじゃん」
楽しそうにはしゃぐ安木。かわいい。
「絶対あれ取る!」
安木が狙ってるのは、ちょっとブサイクな猫のキャラクターのぬいぐるみ。
……まぁ、たぶんそれが欲しいんだろうなとは、景品を見た時からわかってたよ。
───パン!パン!
安木が次々撃っていくけど、掠ることもなく、あっという間に弾がなくなった。
「初めてやったけど、難しいね…」
「簡単に取れたら何発も撃たせてくれないだろ」
「そうだね…」
もう終わったのに、名残惜しそうにぬいぐるみを見つめる安木。
……ったく。
そんな顔されたら、取ってやりたくなるじゃん。