八木澤くんは不器用に想う
「すいません一回お願いします」
「え?
八木澤くんも欲しいものあったの?」
……まったくコイツは。
いっつも見当違いなことばっかり言いやがって。
鈍感も大概にしろよな。アホ安木。
──パン!
「あ!掠ったよ!」
「落ちてないからダメだな」
「ていうか、八木澤くんもそのぬいぐるみ欲しかったんだね」
……だから。
この状況で、俺が欲しいから取るとは思わねぇだろ。
私のために取ってくれるのかな?って考えねぇのかよ。
「……ほんっとアホ」
隣で拳を握って見守ってる安木。
俺はふぅ、と息を吐いて。
──パン!
「おめでとうございまーす!」
安木が欲しがってたぬいぐるみを撃ち落として、店員さんがぬいぐるみを渡してくれた。