八木澤くんは不器用に想う
「八木澤くん射的上手だね」
「ちっちゃい頃、祭りに行くと決まってやってたからな」
「そうなんだ」
「……ほら」
もらったぬいぐるみを安木に渡すと
安木はびっくりしながら俺を見て。
「え…これ、八木澤くんがほしかったんじゃ…」
「んなわけねーだろ。
こんなブサイク猫、ほしがるのお前くらいだわ」
「失礼な。
かわいいじゃん」
「お前の趣味疑う」
ん、とぬいぐるみを安木に押し付けると、
安木は俯き加減でそれを受け取った。
「…もしかして、
私のために取ってくれた…とか?」
「ち、ちげーよ!
暇だったから射的やりたかっただけだし!
俺が欲しいもんがなかっただけだから!!」
……なんで俺はいつも
素直になれねぇんだろ。