八木澤くんは不器用に想う
*初side
「……あれ?」
八木澤くんの、ツーブロックの髪を頼りに追いかけていたはずなのに。
ちょっとお面を買ってたら、見失ってしまった。
………
とりあえず人気のないとこに移動しよう。
そしたら、八木澤くんも同じこと考えて会えるかもしれないし。
お祭りの明かりがあまり届かない、暗いところに移動する。
さすがにここなら、人も少ないから流される心配もない。
八木澤くんからもらったぬいぐるみも、ちゃんと大事に抱えてたから無事だ。よかった。
ぬいぐるみのにゃんこさんの頬をぷにぷにとつついていたら、
「おねーさん。
俺と一緒にお祭りまわりませんか?」
目の前に誰かが立って、ぬいぐるみをつついていた私の手をぎゅっと握ってきた。