八木澤くんは不器用に想う
「あ、いえ、結構です」
手を振りほどこうとしたら、
相手の方がパッと手を離した。
「結構じゃないでしょ。
勝手にいなくなってるんだもん。
そんなに俺と一緒は嫌だったわけ?」
「……あ!」
顔見てなかったから、気付かなかった。
「ご、ごめん東雲くん…!
東雲くんとは思わず…!」
「本当、失礼しちゃう。
……なんてね。
探してたから、見つかってよかったよ」
東雲くん…額に汗が滲んでる。
夏だし、暑いのもあるだろうけど…
もしかして、ずっと探してくれてた…?