素直になりたい。
が、しかし...。


「うそっ...」


体が硬直した。

な、な、なぜ?

なぜこんなにも人気が片寄っているの?

私が名前を書こうとした図書委員にはもうすでに女子の名前が5人も書かれていた。

15人中5人...

3分の1がその枠を狙っているなんて...。

というのも、

そこにあったのは...

櫻庭新大の4文字。

私より綺麗な字を書きやがって...!

字を見るだけでもイライラしてくる。

脈が上がり、心臓が激しく血液を全身に巡らせる中、私はチョークを持った。

仕方ない。

1番人気のないところに...。

私は端から端まで見渡し、その場所を探した。

すると、

見つかった。

左から2番目、息を潜めるようにしてあったのは、"風紀委員会"。

風紀委員会とは何?

思いを巡らせていても出てくるのは"あいさつ運動"だけだった。

あとは、だらしない格好の人の取り締まりとかそんな感じ。

こんなことしてたら嫌われそう。

だから誰もやらないんだ。

今までは誰がやってくれていたのだろう?

なんか、申し訳ないことしたな...。

人間と関わらないから傷つく心配のない私がやるべきだったんだ。

なんていう情が入ってしまい、私は仕方なくそこに名前を書いた。

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