素直になりたい。
「わ、笑ってないで説明して。どういうこと?」


とりあえず、自分の心からは目を反らす。


「まぁ、簡単にいうと、許嫁(いいなずけ)と結婚したくないから、許嫁に恋人がいるって言って諦めさせるつもり。けど、実はさ、その許嫁、結構わがままだし、言うこと聞かないしで、勝手に旅行を取り付けたんだ」

「旅行?」

「そ。2泊3日、神奈川横断ツアーなんて言ってたな。旅費は全部その子が持つらしい。何せ俺を手に入れるので必死だから。リゾートKUROYANAGIっていう会社の令嬢なんだよ」


黒柳...?

いつだか聞いたような気がしないでもない。

けど、いつなんの時だったかまではっきりと思い出せない。


「あ、そうだ。心配はしなくていい。鷲尾の他に生徒会長と副会長っていう、最強カップルも一緒に行かせてもらえることになったから」

「えっ?」

「あと、俺の弟も...な。さすがに鷲尾1人で黒柳のお嬢さんに対抗するのは厳しそうだったから、ちゃんと頼んだ。そこは感謝してほしい」

「あ、うん...」


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