素直になりたい。
「あの」


私は声に反応して、すかさずその方向をみた。

そこにいたのは、紛れもなくあいつだった。


「オレが別の委員会に移ってもいいですか?」

「えぇ、まぁ、構いませんけど...」


櫻庭が立ち上がり、黒板の前に立つ。

黒板消しでゴシゴシと自分の名前を消し、左へと移動する。


...ん?

左へと移動?


嫌な予感がし、じーっと見つめていると、止まった。

チョークをカタカタと動かし、左から2番目に名前を書く。


「えっ...」


口に手を当ててあんぐり。

どうしてそうなるの?

だって、

だって、だって、

だって、だって、だって、

移動する必要無いじゃん。

どうして...?

まさか、また私をいじる気?


「えっと、じゃあ風紀委員会は決まりで。では、男子が3人固まっている広報委員会から1人図書に移ってください」


何やら話し合いの場が持たれ、男女それぞれ話し合ったみたいだけど、それもものの1分で終わった。


「では、これで前期は進めたいと思います。明後日7時限目の委員会の集合場所は教室の後ろの黒板に掲示しておきますので、あとで確認してください。では、私はこれで失礼します」
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