素直になりたい。
「劇かぁ。なかなか難しそうだね」


天羽くんでさえも、少し嫌そう。

美しい顔が崩れた。


「劇は小学生以来やってないな。小4でかぐや姫やったのが最後かな?」

「もちろん千咲ちゃんが主役でしょう?」


私がそう言うと、千咲ちゃんは首を大きく真横に振った。


「そんなわけないよ。ワタシより何倍も小柄で可愛い子がやったよ」

「それよりさ、何にするわけ?」


会議中もずっと不機嫌だった櫻庭が、それを引きずったまま、私達に冷たい言葉を放った。


「それはとりあえず来週までに考えよう。それなら、練習時間もしっかり取れるし」

「次のHRで皆に何やりたいか聞く?」

「うん。それが良いよ」

「うん」


櫻庭は黙ったままだったけど、多数決でそうすることになった。

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