素直になりたい。
「今日は勝手にセリフ変えて突然いなくなってごめんなさい!」


私はメイクを落とし、着替えをしてから、教室に戻り、深く深く頭を下げた。


「大丈夫。ぜんっぜん、気にしないで。むしろ、あっちの方がガーネットの気持ちに寄り添ってて良かったよ」


千咲ちゃんが言うと、天羽くんも大きく頷いた。


「迫真の演技、見事だったよ。オレ、ちょっと泣きそうになったもん」

「アタシも!」

「うんうん、うちも!」

「切なくて良かったよね」

「斬新なラストで良かったと思う」


そっか。

皆がそう言ってくれたなら、良かった。

私、少しだけ救われた...。

この複雑な気持ちに一瞬だけど、ぽっと灯りが灯った気がした。


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