素直になりたい。
か、かか、かかかっ、カッコいい...。

って、ってかっか、こ、この人...

同じクラスの...


「あれ?もしかして同じクラスの...」

「あ、あのあの、これ落としました...」


私はさっと彼の目の前に差し出した。


「わざわざありがとう、鷲尾さん」


それだけで終わるかと思いきや、彼はさらに畳み掛けてくる。

彼の美しい右手が伸びて私の頭の上に乗った。


「ほんとありがと」

「い、いやそれほどでも...」

「んじゃ、お礼にこれ」


そして、手を掴まれて何かを握らされる。

形状を把握したいけれど、無理だ。

それより触れられた場所が熱くて、手の平はじわじわと汗が吹き出る。


「お疲れ様。じゃ、またあとで」


さりげなく振る手も

白い肌から浮き出る血管も

きりっとした目元も

笑うと出来るえくぼも

男らしい背中も

全て...

カッコいい。

あぁ、あんな爽やかな王子様みたいな人がまだこの世にはいたんだ。

しかも私と同じクラスに...。

これはもう奇跡としか言いようがない。

最高過ぎる。

朝から贅沢なひとときを過ごさせて頂いちゃった。


うふふふっ。


自然と笑みがこぼれる。

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