素直になりたい。
扉を勢い良く開けて、倒れ込むようにしゃがんだ。

ぽたぽたと雨の降り始めのように、雫が床を湿らせる。


「なん...で?」


私は拳を床に打ち付けた。

痛い...。

痛いよ...。

つまり、これは現実。

夢なんかじゃない。

なんで今さらになって、こんなことするの?

こんなことして何が楽しいの?

そもそも、私、櫻庭になんかした?

してないよね?

何もしてないのに、なんで?

どうして?

どうして、なの?


心に収まりきらなくなった感情が脳内に昇っていく。

苦しい。

切ない。

痛い。

むなしい。

悔しい。

うざい。

嫌だ。

嫌い。

大っ嫌い。

でも...

でも......

ほんの少しだけ......。

< 278 / 372 >

この作品をシェア

pagetop