素直になりたい。
それからというもの。

櫻庭は私に一切かまってこなくなった。

つまり、そういうことだ。

私は密かにその事実に打ちのめされ、

ここまで何があっても休んだことのなかった学校を、12月に入って寒くなったことを言い訳に風邪を引いたことにして2日間休んだ。

今まで休めなかった理由は、言わずもがな彼にあって。

私は学校にいる間中は変な噂を流されないか、やつの弱点は何かを知るため、常にレーダーを張って監視していた。

でも、有効な手がかりは掴めず、

私の噂さえも広まらなかった。

櫻庭は、そんなことはしなかったのだ。

そう言えば、今になって思い出したけど、

櫻庭、言ってたよね。


――くだらないことしてる時間俺にはない。


――そんな時間があるなら、別のことに使う。



そんな人が今さら、こんなことするの?

疑問符が頭に飛び出してくる。

ちなみに、今いるのはネットカフェだから、変なことは言えない。

おかしい人がいるのかなって思われて、見回りに来られて警察に連絡されたら、全てが終わる。

両親に連絡が行き、

学校をさぼっていたことがばれ、

内部進学も白紙になり、

行き場を失い、

自由を失い、

全てが終わるんだ。

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