素直になりたい。
私はバッグからスマホを取り出した。

画面を開き、まずはラインをブロックした。

そして、電話帳を開く。

ぶっきらぼうに、フルネームで"櫻庭新大"と登録してある。

わりと一緒にいたから、

かける必要なかったんだよね...。

でも、これからは、

一緒にもいないし、

関わらないから、

かけること、なくなるんだよね...。


指先が震える。

タップしてしまえば、繋がりが消える。

やっと繋いだ絆が切れる。

それでも、

それでも...

それでも......

私が悪いから、

私が全部全部悪いから、

自業自得だから、

後悔なんてしない。

私は、

左手で右手を押さえながら、

指先を動かした。


"削除しました"の文字がやたらと眩しく、

全身の震えが止まらなかった。

< 283 / 372 >

この作品をシェア

pagetop