素直になりたい。
「よし、帰ろ」


荷物を取りに戻ろうとしたところで、肩を叩かれた。


「直禾ちゃん、久しぶり」

「あっ、生田くん。久しぶり。千咲ちゃんだよね。今呼んで...」


ドアに手をかけようとしたら、腕を掴まれた。

生田くんの顔は、いつもみたいに笑ってはいなかった。


「どうしたの?」

「新大のことでちょっと話があって」

「櫻庭に何を頼まれたの?私、もう櫻庭とは関わらないって決めたから。今さら何言われても櫻庭がやったことは...」


生田くんが大きく首を横に振る。


「違う。新大はやってない。その証拠に、これ。新大からメールをスクショして送ってもらった」

「これ、本当に櫻庭のとこに?」

「あぁ。だから許してやってほしい。ほんとなんだ。新大はやってない。だって、あいつ本当は...」


そこまで言って生田くんは口をつぐんだ。

気まずいだけの静寂が流れる。

千咲ちゃん、来て...。

そう願っても、まだやって来ない。

なら、私がなんとかしなきゃ。

口を開こうとした、その時。


「新大さ、本当は謝りたいんだよ。文化祭で途中で抜けたこととか、誤解させちゃったこととか、全部...謝りたいんだよ。直禾ちゃんなら分かるだろ?あいつも真っ直ぐで不器用なんだよ...直禾ちゃんと同じくらい」


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