素直になりたい。
「直禾ちゃん、どうしたの?次で降りるよ」

「あ、うん。ごめん、ちょっとうとうとしてた」

「そっか。でも、大丈夫。イルミネーションは眩しくて綺麗だから、自然と目開いちゃうよ」

「そうだね...」


また、だ。

うまく笑えていないのは鏡を見なくても分かる。

天羽くんにだって失礼だ。

ちゃんとしないと。

私は密かに手のひらの肉をつまんでスイッチを入れたのだった。


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