素直になりたい。
「直禾ちゃん」

「ん?」


人が行き交う並木道の真ん中。

そこだけは誰もが避けて通らない。

不思議な不思議な2人きりの世界。

ちらちらと

まるで桜が舞うように、

雪が夜空から舞い降りる。

スノードームの中のような世界に、

私は閉じ込められた。


「直禾ちゃんのことが好きです」

「えっ...」


私は言葉を失った。

突然何を言われるかと思ったら、まさかの告白。

しかも...

一生手に届かないと思っていた

王子様に。


「直禾ちゃん」


天羽くんが私を抱き締める。

今までのように優しくではなく、

強く強く抱き締める。

伝わる。

暖かくて

優しくて

強い

気持ちが

全身に巡っていく。


「オレは直禾ちゃんを悲しませたりしない。絶対に泣かせない。約束する。だから、オレと......付き合ってください」


< 294 / 372 >

この作品をシェア

pagetop