素直になりたい。
「じゃあ、僕と千咲はこっちだから。皆、またね」

「また、卒業式予行練習で」

「あ、そっか。ごめん、嘘ついた。とりあえず、バイバーイ!」


2人は仲睦まじく、肩を寄せ合いながら帰っていった。

適度な距離を保ちながら歩くその後ろ姿は、もはや熟年夫婦のようだった。


「では、わたくしもそろそろリムジンが来るから帰りまぁす」

「うん。じゃあ、またね」

「そちらも、気をつけて」

「あっ、そうだ。今回も旅行ありがとう。楽しかったよ」

「もちのろんだよ!わたくしのプロデュースは一流だからねぇ。また行きましょっ」


誉められて嬉しくなったのか、鼻歌を歌いながら結実は去っていったのだった。
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