素直になりたい。
私と千咲ちゃんが廊下に向かうと、そこには真っ赤に目を腫らした結実がいた。


「2人共、来てくれてありがと~」


結実が私達に抱きつく。


「何?さっきまでヤッホーとか言ってたくせに」


と、千咲ちゃん。

結構手厳しいんだよね。


「2人に出逢えて良かったなぁと思って。だって、2人がいなかったら、わたくしぼっちだったもん!うわ~ん!」


結実がわんわん泣いているけど、私だって3年間1人も友達が出来ずに終わるところだったんだよね。

それもこれも、

櫻庭のお陰か。

櫻庭と再会していなければ、夏にあんなことにならなかったんだもん。

感謝、しなきゃね。

あとで、そのことも言おう。


「泣いてないで写真でしょ?」

「うんっ!」


結実はバッグから自撮り棒を出して来た。


「これで校内1周分動画とりま~す!

お母様とお父様がどんなところで勉強してたのか、見たいって言ってて~」

「なら、仕方ないわね。付き合うよ」

「結実のわがままに付き合ってくれるの、私達くらいだからね」

「は~?!」


と騒ぎながらも校内を散策し、時に動画に映り込んだり、結実のチェキで写真を撮ったりした。

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