素直になりたい。
それから、数日後。

遂に、この時がやって来てしまった。


「じゃあ、祐希さんもお気をつけて」

「今までありがとね。これからも店に来てよね」

「はい、もちろんです!」

「じゃ、またね」


遂に遂に...私と祐希さんのシェアハウス生活が終わりを迎えた。

祐希さんの荷物がトラックに積まれ、

祐希さんは店長の車に吸い込まれた。

この日までずっと泣かずに耐えてきたけれど、さすがに2年半も一緒だと想いが溢れてしまい、涙が止まらなくなった。


「ちょっとぉ、直ちゃん。行けないんだけどぉ」


そんなことを言いながらも祐希さんも鼻をすすり、目元をハンカチで覆っていた。


「まぁ、永遠の別れじゃないんだしさ、そんなに泣かなくても...」

『店長は黙ってて』

「あっ、はい。すみません...」


こんなに悲しいのも

こんなに寂しいのも

きっと

祐希さんと過ごした時間が楽しかったんだ。

宝石みたいにキラキラしていて、

手離したくないと思えるくらい、

大切な時間であり、

大切な思い出であり、

大切な人だったんだ。


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