素直になりたい。
「わ、私は鷲尾直禾です。本日はご来店頂き、誠にありがとうございます」


私はちょっとばかり緊張したけど、なんとか口を開いた。


「高校生だよね?何年生?」

「さ、3年です。しっかりしてなくて、全然そんな風に見えないと思いますけど...」

「何言ってるの。そんなことないわよ。3年生ならうちの孫と同級生ね。うちの孫ね、一応綺桜学園っていう進学校に通っててねぇ」

「えっ?」


同じ学校で、

同じ3年生?


「あら、奇遇ですね。この子もそこの生徒なんですよー」

「あら、そうなのー。なら、うちの孫のこと、分かるかしら?黒柳結実(ゆみ)っていうんだけど」

「あっ、えっと、そのぉ...存じ上げません。誠に申し訳ありません」


私がぺこりと頭を下げると黒柳さんは「気にしないで~」と言いながらレジに向かった。

そして、3000円分ものパンを購入した。

黒柳さんのお陰で大分お店が潤った。


「結実とどこかであったらよろしくね」


そう言ってにこにこと笑顔を浮かべ、去っていった。

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