素直になりたい。
「すみません。もうお店閉まっちゃったみたいなんですけど、売れ残りで良いので買わせていただけませんか?」

「あっ!新大くんだ!来てくれたんだ!」

「お~、新大くん。わざわざありがとう」


なんか、2人に気に入られてるみたいで鼻につくんだけど。


「今日オープンだって聞いて絶対来ようと思ったんです。昨日のお礼も兼ねて何か買わせていただけませんか?」

「まぁ、そういうことなら遠慮なく。売れ残りだから全品30円引きにするから、ジャンジャン買って」

「本当ですか?!ありがとうございます!」


何でそんなに笑顔なの?

何でたまに無邪気になるの?

何で売れ残りでそんなに喜べるの?

そういうところが、うざいんだよ。

でも...

憎みきれないんだよ。

こんな顔見ちゃったら、

許してしまいたくなっちゃうんだよ。

ほんと、つくづく罪な男だ。

これ以上見ていると私のペースを乱されかねないなら、私はおとなしく掃除を再開したのだった。
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