素直になりたい。
「こっちだって、さっきから意味不明。いや、この前から意味不明。あの子...えっと、確か...」

「愛萌。日下愛萌」

「あっ、そ、そう。その子...」


愛萌って呼んでるんだ...。

櫻庭が女子のこと、名前で呼ぶことなんてあるんだ...。

ふぅん。

意外過ぎる。


「日下さんとその...つ、付き...月?えっと、その...つき...」


自分でも危険を感じるほどにカミカミ。

一旦小休止と思って立ち止まると、

櫻庭の手が伸びた。


「つきつきうるさい」


むにっと頬を挟まれる。


「離して。私、痩せたから、そんな肉ない」

「ふっ。ま、そうだな。前の方が面白かった」

「出た。どS発言!もぉ、いい加減にして」


なんとか手を払い除けたが、ずっと心臓はバクバク鳴ってうるさい。

全身に血液を巡らせているけど、血流量が多くて倒れそう。

なんで?

なんで毎回こんな気持ちになるの?

なんで、なの?

ねぇ、櫻庭、

教えてよ。

櫻庭なら、知ってるでしょ?

この鼓動の正体を。


「ねぇ」

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