i -アイ-
「司さん、家居ますか」
蓮が冷静にそう聞く。
「そこから出るなって言って、蓮」
蓮は藍を見て、
「今日は家から出ないでください。」
司なら、蓮に言われた方が言うことを聞く。蓮は素直だから裏がない。
「……優介さんが、狙われました。無事ではあります。」
「薬打たれてるけど、体に害があるものじゃない。一晩寝れば治る」
額から手を離し、首を摩って、伸びをする藍。
「……相手が優しくて幸いだったよ」
頬杖をついて、低く呟く藍。
蓮は司との通話を終え、藍に目線を移す。
「蓮の時は、幹城京馬。優介さんは、海崎紫呉(かいざきしぐれ)。相手方も、使う駒分かってやがるなぁ」
「八澄会佐瀬組に、海崎紫呉は所属してなかったろ」
「うん、そのはずだよ。だから朗報なんだよ。相手方さんはさ」
ニィッと口元だけ笑い、目が笑っていない藍。
「REIGNを潰したいんだよ。……いいや、榊財閥の後継者たち、って言った方がいいか」
「……なんだよ、それ」
蓮が呟く。
「榊に恨みがあるやつが頭だろうなぁ。そんでもって、弱みである子供から蝕んでこうっていうことだな。」
「榊に、恨み?誰なんだよ」
蓮は、藍が何かを知っていると思っているんだろうな。