i -アイ-
「おはようございます、優介さん。これ、水。一応今日一日水分を多めに取るようにして、薬が体内に残らないよう心がけてください。体はどうです?脈拍的には問題なかったんですが」
「ああ、よく眠れたし、昨日とは全然違う。異常ない」
落ち着いた声で返す優介さん。
「そうですか。学校には4人で来てください。俺は碓氷さんを迎えに行ってきます。」
「……ん、頼む」
立ち上がり、部屋を出ようとすると
「久遠は何のためにそんなに強くなったんだ」
核心をついた質問。
「いずれ、分かりますよ」
御庄の人間として、あなたに顔を合わせる未来があるかもしれないからね。
ふっ、と笑って部屋を出た。
____
「いってらっしゃいませ、司様」
遠くで上品な挨拶が聞こえる。
そして数秒後にあたしの視界の中に司さんが入ってくる。
「おはようございます、司さん」
クレープを食べに行ったあの時とは、別の目。
あたしを警戒し、信頼していない目。
あたしを一瞥し、スタスタと歩き出す。
本当に学校から近いなぁこの家。
あたしは何も言わずに司さんの一歩後ろを行く。
すると、急にピタリと立ち止まる司さん。
振り向かずに、
「俺の護衛のつもり?」