i -アイ-
相手はそこそこ頭のいい人みたいだしね。
それにしても蓮がやられた時も、優介さんがやられた時も、親には何らかの方法で情報は伝わっているのかな。
「おはよう、滝谷」
考え事をしながら席に着く。
「……お前よく普通に挨拶できるな。調子狂うわ」
怪訝な顔をする滝谷。
ああ、昨日あんな場面特等席で見せちゃったしな。
「あー、昨日は驚かせてごめん。気にしないで」
「うん、気にしない。って言うと思ったのかよ?だとしたら能天気すぎるだろ」
「うーん、そうかぁ。俺喧嘩強いんだ。ただそれだけだよ」
関係ない人を巻き込むのは面倒だ。
関係ない人の身の危険まで守る余裕は俺にはないから。
「お前は言ってないことが多すぎる」
はあ、とため息をつく滝谷。
「いつも事後報告で、驚かされるこっちの身にもなってくれよ」
「……ごめん」
確かに関係ないとしても、仮にも友達だしな。
仮にも……
「いや、謝らなくていい。ただ、知らないことが多いのは、……なんでか知らねえけど癇に障る」
あたしと、仲良くなったと思っているから、癇に障るんだよ。
「へえ?滝谷って俺の事大好きなんだね」
ニヤッと笑って見つめてやれば、頬をぴくぴくと引き攣らせる。