i -アイ-
藍side
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「なあ、蓮。クレープ食べない?」
蓮の服を摘んでクイクイと引っ張る。
「は?クレープ?」
「ん。司さんと食べに行ったクレープ屋さん超美味しかったからさ。ダメ?」
そう聞けば、蓮は溜息をつき
「どこにあんだよ」
承諾してくれた。
あの話し合いの後から、何やら蓮の雰囲気が柔らかくなった。
仲直り出来たってことだなこれは。
クレープを選んでお金を払おうとすると、
「いい、奢る」
そう蓮が言ってくれて奢ってもらってしまった。
「どうした?」
「今更だけど、助けてもらった礼」
ああ、あの時のことか。
「いいのに。あんなん、俺のエゴだから恩売るつもりなんてないよ。でもまあ、今日はお言葉に甘えて。さんきゅ」
ただ通りすがって腕試し程度。
でも、あそこで蓮に出会ったのも運命ってやつなのかな。
「お前の喧嘩、綺麗で好きだ」
ドクッ
心臓が変な音を立てる。
「……あの時もそういや言ってたな」
「学校でお前に会って、i がお前だったらいいなって思ってた」
は?どういうこと?
話が繋がらないんだけど。
「なんか分かんねえけど、お前だったらいいなって思ったんだ。だから、嬉しい」