i -アイ-
「お前タバコ吸うのか?」
「吸わねえよ。燃やすんだよ」
「ああ。待ってろ」
蓮は吸わないのか。
灰皿を貰って、さっきの中庭の方に出る。
ジッポでその紙を燃やしていく。
「ジッポは持ってんのかよ」
「結構役に立つんだよこれ」
役にも立つし、それに
「名前入りか?」
カチンと閉めて、ポケットに入れる。
「ん。貰いもんだよ」
榛人の形見だ。
綺麗に灰になった書類を捨て、蓮の部屋に戻る。
「あいつ、俺を殺ろうとしたやつだろ」
幹城京馬。
蓮を潰そうとした男。
あいつが、優介さんの居場所を教えてくれた。
入学してから数日後、渡した番号に連絡があった。
再就職先を探してる、って。
もう見つけてあるし、すぐにでも佐瀬組から逃がすことも出来る状況にある。
けど、タダでだと逆に怪しいだろうから、少しの間スパイのような事をしてもらうことにした。
今の、REIGNを潰す潰さないのこの1件が終わるまで。
長丁場になりそうな気もするが、幹城もこれを望んでる。
俺の言葉を聞かないアホどもと、これっきりってのも味気ないからな、と。