i -アイ-




「ここには戦いに来た。けど、守らないといけないものが増えちゃってさ」



そう言えば、利人さんは溜息をつく。



『……じゃあ、お前を守るのは誰だ』



あたしを、守る人……。



「今まで守られすぎてた。だからもう自分は自分で守る。俺より強い人、いたら教えて欲しいな」



『力の問題じゃない。お前の心を守れるやつはいるのか』



利人さんの低い声で、あたしの心臓がドクッと音を立てる。


頼りたい。甘えたい。

自分の弱さが揺らぐ。


笑顔が消えるあたしに近寄ってきたのは、



「大丈夫か……顔色悪いぞ」


右手の甲をあたしの右頬にあてる、蓮。



息を深く吸って、吐く。



「うん。純粋で汚れてない金髪が1人。」



蓮を見て、口の片端を上げれば、眉間に皺を寄せる蓮。



『……佐伯か』



「うん。いい子だよ。一緒に戦えるのは、三國と暁さんかなぁ。司さんには最近嫌われてるけど、そういう人もいなきゃね。優介さんは半信半疑っぽいけど、それでも寄り添おうとしてくれてる。」


蓮の手を掴んで下ろす。



「守るよ、絶対。でもそっちは俺の力じゃ守れないし、守ってもらおうなんて思ってないと思うけど……それでも」



『分かってる。心配すんな馬鹿』





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