i -アイ-
はぁ、と呆れたように答える利人さん。
「馬鹿ゆーな……馬鹿じゃないし」
『ま、お前の声が聞きたかったから電話した。お前もいつでも連絡しろよ。』
「俺からはしないって。会いにも行かない。全部終わるまで、甘えたくない。」
『はいはい。じゃあ俺から連絡入れる。登録はすんなよ?番号だけ覚えとけ。あと履歴も消せ』
「ん、分かった」
『じゃ、またな』
「ん、また」
通話を切って、蓮を見上げる。
「大丈夫か」
蓮はあたしの変化に敏感になりつつある。
「ああ〜、蓮の純粋さは毒が抜かれるな〜」
蓮の頭をくしゃくしゃと撫で回す。
4人が座る場所に戻り、
「長電話、失礼しました」
「誰」
司さんが聞いてくる。
「んー…」
「女?」
「え?」
蓮の言葉に思わず反応する。
「へえ、お前女いたの?」
とんでもない誤解が生まれている。
「女じゃないですし、まずいません」
「お前の雰囲気が、すげえ甘かった気がする」
……くそ恥ずかしいこと言うな、蓮。
耳に血が集まるのを感じる。
「お前、耳真っ赤だぞ」
「嘘つくの下手だなぁ」
司さんと蓮の息のあった攻撃が始まる。