i -アイ-
「蓮、頭出せ」
急にそう指示する三國。
戸惑いつつ、蓮は頭を出す。
すると、ゴンッとゲンコツが落ちる。
「ってえ!なんすか!?」
ギロッと三國を睨む蓮。
「お前、俺より藍人と仲良くなんなっつったよな」
蓮の眼力など全く聞かず、今にも蓮を殺しそうな冷たい視線を送る三國。
「え?」
蓮は分かっていないようで。
「確かに。急に喧嘩の練習なんか始めて、相当仲良くなったんだな、蓮」
ふっと笑う優介。
蓮は、目線を落として、
「あいつの力になりたいんです」
そう落ち着いた声で言った。
「……あいつ、なんか背負ってますよね?」
暁と三國を見て、真っ直ぐにそう聞く蓮。
「背負ってるもんを俺が知っても、出来ることなんてないかもしれねえし、あいつは俺より強いから守ることも出来ない。」
蓮は、あいつとどんな話をしたんだろう。
「でも、あいつと居ると、今にも消えそうで、……怖いんです」
久遠藍人、あいつは、蓮を変えていく。
三國が前に言ったことと同じことを口にする。
「喧嘩のレベルが高くて、情報にも強い。俺の知らない世界を知ってる。俺はあいつに助けられたし、あいつの喧嘩が好きなんです。だから、少しでも近付きたいし、一緒に戦える人間になりたいんです」