i -アイ-
「なめてんの?」
スッと表情を無くして、冷たく言い放った久遠。
「遊びに来てんじゃねえんだよ」
その言葉に、三國は手を離す。
「蓮、行くよ」
蓮は、困惑した表情を浮かべながら、久遠に近づいていく。
立ち尽くす暁と三國を見て溜息をついた久遠は、
「まあ悪い気はしないけどさ、皆を困らせるのは違うでしょ。それとも、俺が悪いことした?」
今度は優しく問いかける。
何も反応しない2人にまた久遠が言う。
「ごめんなさい、は」
……猛獣使いかよ。
「悪い」
「悪かった」
久遠は両手を上げて、2人の頭を撫でた。
「いいえー」
そう言って屋上を後にした。
「飼い慣らされてるね?2人」
「だなぁ」
優介と俺は顔を合わせる。
「ま、2人にとってどれだけあいつが大事かはよーく分かったよ。」
「独占欲の塊だね」
暁と三國は一人っ子な分、あいつへの思い入れが強いんだろう。
……ただの幼馴染みではないだろうけど。
三國があんなにキレてんの久々に見たな。
「分かってたけどな」
三國がその場に座り込む。
「何を」
「蓮は、昔の藍に似てる」