i -アイ-
暁の言葉に、はぁ、とため息をつく三國。
「純粋で真っ直ぐで、でも不器用で。藍は、昔の自分を蓮に重ねてるんだろうな」
今の久遠は、どれが本当で偽りか見分けがつかなければ掴みどころがない。
それが元の性格ではないことを三國の言葉は意味している。
「俺は蓮を初めて見た時、藍に似てるなって思った」
「……え?暁が蓮連れてきた時って、大分蓮荒れてただろ?」
「だな。藍も、そんな時期があった」
そういう暁は、辛そうで。
「あったな。俺らは、見てることしか出来なかった」
三國も同様だった。
「藍を勝手にREIGNに入れたこと、相談しなかったこと、悪かった。……けど、これ以上あいつを1人にしておけなかった。」
守るものが増えちゃってさ。
そう通話をしながら言ったあいつの顔は、どこか嬉しそうだった。
1人にしておけなかった。
その言葉通り、どれだけの長い時間を三國と暁が久遠と過ごしていたかを物語る。
「今更謝らないでくれる?」
ふっ、と鼻で笑う優介。
「久遠はこの短い間でも利益を生んでる。もしこの先不利益を生んだとしても、利益を上回らなければ問題はないでしょ。」
優介らしい回答だ。