i -アイ-
「ああ、でも、今回の場合、もし久遠が来なかったら、俺たちの中で誰かは殴られてたよね?それは不利益だから、当たらないでもらえる?」
三國と暁は目線を逸らす。
「あと三國。話を逸らす目的もあったこと、さすがに俺らは感じ取ってるからね?」
久遠藍人に似ている人間。
きっとそれが、久遠藍人が何者であるかの鍵を握るポイント。
三國は困ったように笑う。
「キレてたのも本当だろうけどさ」
「あいつが何者か、それを知ったら俺らって何倍も危険になるんだよ」
珍しくサラッと答える三國。
「俺らのためにも、あいつのためにも、今そこは目瞑ってくれないか」
そう懇願する暁。
「何となく分かってるから、聞いてないんだよ。ただ、嘘は嫌いだからね」
「ま、蓮が勘づいたら逃げらんないだろうけどね〜」
俺も鼻で笑う。
「何気に、あいつが俺らのフラッグシップだったりするよな」
ふっ、と鼻で笑う暁が、三國の蹴った机を治す。
「パーティー、俺に干渉するな、か。」
「俺らの演技力にかかってるらしいね」
三國が伸びをしながら言い、優介が答える。
「あいつにばっかり頼ってらんねえからなぁ」
ニィッと笑う三國は、どこか久遠の笑い方に似ていた。