i -アイ-
Lv4
再会
「久遠」
「はい」
インカムからあたしを呼ぶ声がして、今回の会場の責任者である上司の元へ行く。
「今日君には中央の5、6番テーブル付近を担当してもらいますが、そこが1番人が集まる。分かっていますね?」
あたしは入学すると同時に、この高級ホテルの会場スタッフのアルバイトをしている。
これも、情報収集のため。
『黒木カンパニー 代表取締役社長 黒木尚也誕生パーティー』
この2ヶ月ほどで、働きぶりを買われ、今回はメインであるポジションを担当することになった。
俺以外は皆社員だ。
「承知しております。」
軽く頷いて、ニコッと微笑む。
春日井さんは36歳、独身。
イケメンで仕事も出来る。
だけど、潔癖で冷たくて厳しい。
その性格の難から独身らしい。まあ春日井さんは独身貴族とやらなんだろう。
パートナーとか求めてなさそう。
「君の仕事ぶりは認めています。焦らず落ち着いて、いつも通りで十分ですのでよろしく」
今回、この会場のメンバーとしてあたしを推薦してくれたのも春日井さんだ。
そんな褒め言葉や激励の言葉も淡々としている。
「ええ。春日井さんのご期待に添えますよう、最善を尽くさせて頂きます」
また口角を上げて目を細める。
時間が近づき持ち場に着く。