i -アイ-
「お前ここで何してんの?」
「アルバイトだよ。では」
綺麗に礼をしてその場を離れようとする。
「お前それ以上モテてどうすんの?」
まだ話しかけてくる滝谷。
「……はい?」
仕方なく端に立ち、周りを見ながら聞く。
「お前、スーツ似合いすぎ」
「あ、そういうこと?ありがとう。滝谷もカッコイイよ」
そう言えば、滝谷は目線を逸らす。
「あはは、照れんなよ。つか、今仕事中だから、またな」
さっきから若干春日井さんの視線を感じる。
まだインカムで注意されてないからいいけど。
あともうひとつ、視線を感じる。そっちの方が怖い。
滝谷から離れ仕事をする。
お偉いさんたちが挨拶を交し、子供たちもそれに倣う。
時間が経つほど、子供たちは子供たちで集まり話し出す。
REIGNの皆も集まってる。
そこだけ煌びやかさが倍増してる気がする。
「暗転します」
インカムでそう言われ、ステージ以外の会場の照明がフェードアウトする。
主役である黒木社長が挨拶をし、挨拶が終われば会場全体が明るくなる。
パーティーは幼い頃に何度か来たことがあるけど、本当に久々だ。
昔はパーティーに集まる大人が嫌いだった。
パーティーは楽しむものなのに、全然楽しい雰囲気じゃないから。
見かけだけ。いいのは。