i -アイ-
西尾佑樹。
本当に面倒臭い。
最初に喧嘩売ってきて、負けたからって。
子供かよ。
いや、子供か。
んーどうしたもんか。
「はい、そうです」
ビジネススマイルで答えれば、これまた気に障ったようで手の力を強める。
この様子だと親は近くにいないんだな。
一人でいたとすると、友達もいないんだな。
「どうなさいました?」
首を傾げれば、これまた癇に障ったらしい。
「お前アルバイトなんかしてんの?」
「はい、そうです」
「本当に貧乏人なんだな?秀才枠だもんな」
もし貧乏人だとしても、それは挑発にはならない。
秀才って言われてるし。
「生活には不自由していませんよ。小遣い稼ぎです。あと何か」
西尾はあたしを睨み、
「お前あんまりナメてると痛い目見るぞ」
お前がな。
「REIGNのメンバーだとしても、お前とこっち側じゃ立場が違う。お前の親を無職にさせることだって簡単に出来るんだ」
お前じゃなくて親がな。
「両親は居ません」
仕事があるので、と離れようとするが、離そうとしない。
「どうした」
インカムで春日井さんに心配される。
「あ、はい。そちらに今伺います」
何も言われてないけどイヤモニを抑えて、移動しようと試みる。