i -アイ-
あたしたちはお互いが生きていることをずっと祈ってる。
だからこそ、亮さんは御庄の敵だと言われても、何も言い返さずにあたしを間接的に守っていてくれた。
亮さんが犯人だと思われていれば、本当の犯人はあたしを狙わないから。
でも、亮さんを守る力はなくて。
今のあたしならギリギリ守れるか、守れないか。
「腕、本当に大丈夫?見せて」
「さっきも言っただろう。問題ない」
「え、でも」
ピンポーン
インターホンが鳴り、画面を見ればそこには春日井さんが居た。
「スーツが準備出来ました」
「かしこまりました。今開けます」
扉を開けて春日井さんともう1人の社員さんが入ってくる。
社員さんが亮さんにジャケットを羽織らせ、言いにくそうに春日井さんが口を開いた。
「榊様。大変言い難いのですが、エントランスで西尾様がお会いしたいと」
そりゃ、謝りたいよな。
「息子さんもですか」
「ええ。そのようです。」
亮さんはあたしをちらっと見て、
「いいでしょう。エントランスに向かいます」
「それが、こちらから伺わせて欲しいと西尾様が」
謝りたいからそりゃそうだろうな。