i -アイ-
滝谷岳side
藍人が教室を出て、やっと皆、普段通り呼吸が出来た。
「なんだよ、あいつ」
「一般人じゃねえんじゃねえの」
「藍人くん、最近怖い」
そんな言葉が飛び交う。
藍人が俺と話す時とは真逆。
REIGNが関わると目の色が変わる気がする。
俺と話す時は優しい目をしてる。
……でも、まるでここに居ないような儚さを身に纏っている。
今度、バスケ誘おう。
ちゃんとした笑顔を最近見ていない気がするから。
「椿」
「何」
「あいつのこと、嫌いにならないでやってな」
俺の言葉を不審そうに聞く椿。
「わざと突き放そうとしてる気がする」
言わなくていい事だったと思う。
けれど、俺はあいつを見て痛々しかった。