i -アイ-
「この男はどんな世界を見て生きてきたんだろうな」
たかが16年。
そんな俺より半分も生きてない子供が。
「さあ。でも、俺たちは久遠を知らないが、久遠は俺らを知っています。確実に。……俺に初めて会った時も、俺を全て知っているようでした」
あれは偶然の賜物だ。
" i " とこいつが出会ったのは。
「なあ、幹城」
男はフードを脱ぐ。
「お前はどっちに就職(つく)つもりだ」
ふっと笑えば、
「もちろん、碧(あおい)さんですよ?」
ニィッと笑う幹城。
「まあ、" i "が考えていることは分かりませんから、俺がこちら側だと踏んだ上で依頼をしてきているのかもしれませんが」
幹城京馬。
こいつが使えるやつだと踏んだのか。
久遠藍人、お前もそう思うんだな。
こいつは妹を亡くして屍のようにこの世界に沼っていった。
それを引き上げたのは、他でもない俺だ。
そんな幹城が初めに " i "に出会い、気に入られた。
REIGNを潰すキーマンは、幹城だ。
「大切なものを失くしたもの同士、次こそは守りましょうね」
では、とフードを被り部屋を出ていく幹城。
守れなかった、俺たちは。
だから、邪魔をしないでくれないか。
「亮、" i "」