i -アイ-
「御庄榛人殺害も、亮さんではなく、裏社会の組織に消されたんじゃないかってね」
それを聞いて、クスクス笑うあたし。
「……あながち間違いじゃないですよ、優介さん」
そう話せば優介さんは苦笑いをする。
「久遠、君は本当になんでも知っているね」
「知っていることも知らないことも同じぐらいですよ。でも、知っていることをひけらかすのは、情報をタダで相手に渡すということ。利益にならないでしょう?」
優介さんに分かりやすく話す。
「優介さん、あのパーティで御庄はどんな動きをしていたか、見ていた?」
「亮さんや榊の人間には挨拶していなかったよ。冷戦状態って感じかな。」
利人さんも亮さんも演技がお上手で。
「でも」
「でも?」
優介さんがあたしを見て少し黙る。
ん?
……何をしたの?利人さん。
「急に歩く足を早めた先に、久遠、君がいた」
「……え?」
「亮さんが庇って、直ぐに足を止めたけど、君が出ていくまで君を目で追ってた。その後は、……ホッとしたようにまたいろんな人と挨拶してたよ」
……ごめん、利人さん。
また心配かけた。
あとで怒られるな。
「久遠、君は御庄とも繋がりがあるのか」
その言葉で、優介さん司さん蓮が眉間に皺を寄せる。