i -アイ-




ゆっくりと三國と暁を見れば、お前に任せるって目をしてる。


全く。



まあ、助けて欲しいわけじゃないけど。



「あの時、亮さんが俺を庇ってくれたのは、亮さんと俺が繋がりがあるから。それは何となく感じたと思う。暁との記憶が無いのと同時にその時期の亮さんの記憶もない。」



甘える対象である暁を忘れ、亮さんの記憶も。



「でも、俺の大切な人の葬式に亮さんが来てくれたのは覚えてる」



俯きながら口角を上げる。



「泣きながら、また会おうって言ってくれた」


暁を見れば、瞼を赤くする。



「俺には、生きろ、って聞こえたんだ」



我慢できずに暁が泣く。


三國も我慢して、暁の背中を摩る。


その理由が分からずに残りの3人は動揺する。


分からない。昨日は話さないでおこうと決めたけど。

暁が、どれだけ辛いのか、そんなことを考えたらあたしが痛くて堪らない。



「俺の大切な人。それは御庄榛人だよ」



目を大きく開ける3人。



「まあ、榛人のせいで亮さんは悪者に徹するしかなくなったし、REIGNは狙われるし、迷惑な人なんだけどね」



あたしは立ち上がって暁の前に座り込む。



「亮さんは榛人を守れなかった。だからこそ、俺やREIGNの皆を守ろうと必死なんだ。」


暁の頬を両手で包む。

温かい涙が、あたしの腕に伝っていく。




< 178 / 457 >

この作品をシェア

pagetop