i -アイ-
ゆっくりと三國と暁を見れば、お前に任せるって目をしてる。
全く。
まあ、助けて欲しいわけじゃないけど。
「あの時、亮さんが俺を庇ってくれたのは、亮さんと俺が繋がりがあるから。それは何となく感じたと思う。暁との記憶が無いのと同時にその時期の亮さんの記憶もない。」
甘える対象である暁を忘れ、亮さんの記憶も。
「でも、俺の大切な人の葬式に亮さんが来てくれたのは覚えてる」
俯きながら口角を上げる。
「泣きながら、また会おうって言ってくれた」
暁を見れば、瞼を赤くする。
「俺には、生きろ、って聞こえたんだ」
我慢できずに暁が泣く。
三國も我慢して、暁の背中を摩る。
その理由が分からずに残りの3人は動揺する。
分からない。昨日は話さないでおこうと決めたけど。
暁が、どれだけ辛いのか、そんなことを考えたらあたしが痛くて堪らない。
「俺の大切な人。それは御庄榛人だよ」
目を大きく開ける3人。
「まあ、榛人のせいで亮さんは悪者に徹するしかなくなったし、REIGNは狙われるし、迷惑な人なんだけどね」
あたしは立ち上がって暁の前に座り込む。
「亮さんは榛人を守れなかった。だからこそ、俺やREIGNの皆を守ろうと必死なんだ。」
暁の頬を両手で包む。
温かい涙が、あたしの腕に伝っていく。