i -アイ-




「あなたのお父さんは、人殺しなんかじゃない」


あなたは、お父さんが嫌いじゃないもんね。


「俺の大切な人を殺した犯人じゃないんだよ」


ダメだなぁ、あたしも涙腺が弱くなっているみたいだ。



そう話せば、ガバッと暁ごとあたしも抱きしめるのは、



「三國はあたしたちのお兄ちゃんだね」


小さい声で呟けば、三國も震え出す。


泣いてるや。三國。

優しい人だな。



でもさ



「暑い、三國、離して」



長い。



「はあ……?無理」



「張り倒すよ?」



あたしに肩を押され、暁には顔面を押される三國。




あたしはくるりと振り返り、



「REIGNにとって、俺を入れるのが博打だって言ったのは、優介さんのように噂を信じている人にとっては、という意味です。榊と御庄は冷戦状態。その噂を信じれば、御庄側の俺と榊側のREIGNが手を組むのは異様でしょう?」



状況を飲み込むのに精一杯な3人。



「久遠、お前は何故御庄榛人と」


「それはいずれ分かります。」


「そこまで話しておいて」


「すみません。ここまでの話も他言厳禁です。他で話せば、亮さんが危ない。亮さんが御庄榛人を殺していないとなったら、真犯人は、と騒ぎになるでしょう。けれど、亮さんが殺したことに世間的になっていれば、真犯人は安心して生活出来て、こちらに手を出してこないんです」




< 179 / 457 >

この作品をシェア

pagetop