i -アイ-
「あなたのお父さんは、人殺しなんかじゃない」
あなたは、お父さんが嫌いじゃないもんね。
「俺の大切な人を殺した犯人じゃないんだよ」
ダメだなぁ、あたしも涙腺が弱くなっているみたいだ。
そう話せば、ガバッと暁ごとあたしも抱きしめるのは、
「三國はあたしたちのお兄ちゃんだね」
小さい声で呟けば、三國も震え出す。
泣いてるや。三國。
優しい人だな。
でもさ
「暑い、三國、離して」
長い。
「はあ……?無理」
「張り倒すよ?」
あたしに肩を押され、暁には顔面を押される三國。
あたしはくるりと振り返り、
「REIGNにとって、俺を入れるのが博打だって言ったのは、優介さんのように噂を信じている人にとっては、という意味です。榊と御庄は冷戦状態。その噂を信じれば、御庄側の俺と榊側のREIGNが手を組むのは異様でしょう?」
状況を飲み込むのに精一杯な3人。
「久遠、お前は何故御庄榛人と」
「それはいずれ分かります。」
「そこまで話しておいて」
「すみません。ここまでの話も他言厳禁です。他で話せば、亮さんが危ない。亮さんが御庄榛人を殺していないとなったら、真犯人は、と騒ぎになるでしょう。けれど、亮さんが殺したことに世間的になっていれば、真犯人は安心して生活出来て、こちらに手を出してこないんです」