i -アイ-
佐伯蓮side
「久遠の言葉を、信じてもいいのか」
優介さんが三國さんに聞く。
「もちろん、久遠を信じたい気持ちはある。けど、何を理由にあの噂をあんなにハッキリ否定できる?」
疑問は沢山ある。
けれど、藍人は全ては語らない。
今回俺たちが聞いた内容も、他言厳禁だと。本当はここで話すのも危険だが、今俺らに必要なことだと思ったと話していた。
榊側の俺らにとって、御庄は常に対角線に立っている。
交わらず、平行に。
俺の家族はそこまで御庄に干渉しない。けれど、桜庭家は御庄をよく思っていない。
「こんなことは言いたくないが、最悪の場合、久遠は俺らを信頼させて内部から潰すことだって、榊に牙を剥くことだって可能なんじゃないかと俺は思う。……亮さんは久遠と何か話したんだろうか」
「藍は味方であれば心強い。でも、敵であった場合こちらが負う傷は深いだろうな」
冷静にそう話すのは三國さん。
「でもこれだけは言わせて欲しい」
いつものヘラヘラした三國さんじゃない。
「REIGNには俺が居る」
……え?
「……おい、なんだその目は」
「分かってるよ。三國がREIGNのブレーンなのは。でも、久遠の方が頭が切れるんでしょう?」
皆、拍子抜けする。