i -アイ-
俺の言葉にザワつく周り。
この反応が普通なんだ。
「え〜今お昼休みだよ?休ませろ」
こいつが異常なんだ。
「早く」
「あーはいはい。1回教室寄っていい?放課後渡そうと思ったけど、今渡しちゃうわ」
「……?」
何を、と聞く前に藍人は一緒に昼飯を食っていた奴らに声をかけ、俺の前をツカツカ歩いていく。
そして、自分のカバンに手を突っ込み、なにか小さいものを取り出し、ポケットに入れた。
「よし。どこ行けばいい?」
屋上に連れて行く。
『蓮が居てくれて良かった』
俺は確かに頼りないかもしれない。
けど、その言葉で逆に救われた気持ちになった。
消えてしまいそう。
前に藍人のことをそんなふうに言った。
その不安が色を濃くしていく。
目の前の藍人のワイシャツを掴む。
とはいえ、クンッと軽く。
「……?どうしたー、蓮」
「この前俺に死ぬなって言ったろ」
俺にワイシャツを掴まれたまま歩く藍人。
「言ったっけ」
「お前も……居なくなるなよ」
その言葉に、藍人は立ち止まり振り返る。
キョトンとした顔から、真顔になり、フワッと笑った。
「蓮、この世になくならない物なんてないと思う」
……なんでそう、不安を煽るような……