i -アイ-
「藍、これが誰だか分かるのか」
三國の言葉に、久遠が三國を見る。
三國でも分からないその人物を、久遠は知っているようだった。
「顔と名前は分かる」
瞳から光が消える。
「現状が最悪な状況だって事も、分かっちゃった」
その写真だけで、全てを理解した。
そう語っているようだった。
「調べ直す必要がある。……三國と暁はこの可能性を感じてここに連れてきてくれたんだね?」
「この人物が誰だかは分からないが、近しいと言ったらREIGNのメンバーの中にいるかと思ってな」
ふぅ、と久遠が息を吐く。
「ありがとう。……今日学校サボっていいかな?」
何故か優介に聞く久遠。
「俺達も一緒に調べる、ってことでいいのかな?」
「ん。皆がここに連れてきてくれたから、これは一緒に、いや、俺が調べているのを見ていて欲しい。……俺でも、そこそこ緊張する仕事になりそうだから、お願いしたい」
これが、REIGNである俺らに対しての、久遠の初めての弱音だった。
だからこそ、俺らにもより一層緊張が走った。
「分かった。溜まり場に行こうか」
優介の一声で静かにその部屋を後にした。