i -アイ-





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『その、名雲碧って人が俺らを狙ってる奴かどうかはまだ分かんねえんだろ?仮の話なんだろ?』


蓮があたしに聞いてきた。


まだそうと決まったわけじゃないけど。


もし、名雲碧が犯人なら、榛人の右腕とも言われていた亮さんよりも、上のNo.2の座にいた人間が、分かりやすい偽装を?


あたしみたいに亮さんを知っている人間なら皆、他を疑うようになることをなんで。


そしてまるで、佐瀬組が勝手にREIGNを潰そうとしているように見せかけたのも疑問だ。


佐瀬組やその世界を知っている人なら、誰しもがもっと上の存在が操っていると分かる仕掛け。


……まあ、イレギュラーであるあたしがいるから、そこまで分かっているだけだけど。


まるでその一つ一つが、メインではないかのように。




名雲碧が亮さんを狙っているとしたら、確かにそちらがメインだ。


イレギュラーであるあたしが居るから、今策を練っているのか。




「久遠」



椅子に座っていると、春日井さんに声をかけられた。


今日はバイトのシフトが入っており、黒木さんの時よりは少し規模の小さいパーティがある。美容系の企業のお偉いさんたちのパーティーだ。


そのパーティーと、もう1つ別室で会食がある。



これもタイムリーな、八澄会の会食。


あたしはパーティーの方の担当だからまだいいけど。




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