i -アイ-





スーツの男は八澄会佐瀬組の幹部。


その人がわざわざ手を下す少年なら、相手はREIGNってところだろう。



「どう?正解?」



「俺に質問するなら、まずは俺の質問に答えろ」



口元しか見えない男が、この状況で明るく話をしている。

それだけで、警戒対象だ。


にも関わらず、スーツの男は冷静に言葉を発している。



「ふふ。幹城京馬(みきしろきょうま)さんはさすがだなぁ。佐瀬組には勿体ない。こんな馬鹿げたこと、したくないはずだけど?」



スタスタと歩き、少年の前に行く。


幹城は少し間合いを開く。



うん、少年、息はしてるね。



「ハッ、自分のことは話さないつもりか」



「まあね。メリットがない。」



佐瀬組は今にも潰れそうな組織。

全国No.1の勢力と頭脳を持つ未成年グループであるREIGNから、人員を無理やり引き抜こうって策か?


幹城のことは調べたことがある。

なかなかやり手なヤクザのはず。



「手を引いてくれる?未成年には手を出しちゃいけないよ」



「……お前、iだろ?」



ニィッと笑う幹城。



「偽善者で有名な」



i は自分から喧嘩を売らない。そして、買うことも無い。


ただ、大人の力でねじ伏せられそうな未成年〈こども〉が居たら助ける。



< 2 / 457 >

この作品をシェア

pagetop