i -アイ-




「とりあえず、この人への対応は " i " としてやっていこうと思う。だから、もし、この人とREIGNが近づくようなことがあった場合、俺はREIGNの皆も騙すことになるかもしれない」


その言葉で察してくれたらしい。


「今は、REIGNの皆に嫌われるのはどうも辛いからね。甘いことを言ってるとは思う。けど、一人くらい」



ギュッと締め付けられる。


三國があたしを抱きしめていた。



何も言わない。三國は、何も。



「……一人くらい知っていて欲しいと思うと同時に、皆を騙す時、皆を安全な場所に連れ帰って欲しいから。……本当はね、1番、蓮を騙すのが心苦しいんだ。あの子はあたしを無償で信じると言ってる。あたしが皆を騙したら、裏があるって探そうとする。だから、あなたに止めて欲しい。」



あたしを抱きしめる力を強める三國。



「ごめんね、三國。1番辛い立ち回りをお願いして……暁は不器用だから難しいでしょう?優介さんと司さんはあたしを常に斜に構えて見ている。あたしはあの二人にはそのままでいて欲しい。何かとその方がやりやすいし、背筋が伸びるからね。」



多分、榛人と麗士さんが同じ代に一緒にメンバーとしていた事を皆驚いたと思う。

でも、あたしは驚かなかった。


仲間内にそういう人が居ると、自分に何かあった時皆を守ってくれる。

そういう信頼を置ける。



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