i -アイ-
「今は、REIGNの皆に嫌われるのはどうも辛いからね。甘いことを言ってるとは思う。けど、一人くらい」
その藍の言葉を聞いて、胸が苦しくなった。
藍は確かに強い。
けど、ここには自分よりも強いものはなく、寄りかかるに気を負わない者もいない。
その言葉が、助け舟だとすぐに気がついた。
お願いだから、もうこの子を苦しめないでくれ。
そう思わず願いそうになる。
けれどこれは、藍が進みたい道。
藍の願いなら聞こう。
昔から俺はそう決めてきたんだ。
「……どこにも、行かないでくれ」
そんな俺の弱音も、俺を安心させようとしっかり答えてくれる藍。
守らせて欲しい。
守らせて欲しいのに、藍は先を行く。
ならば、共に行くしかないじゃないか。
教室に戻れば、囲まれる。
あ?なんだコイツら。
「ねえ三國、あの子1年の藍人くんだよね?」
「連絡先教えてよ」
「あの子秀才枠だし、そんな厳しくないはずだよね?」
俺は立ち回りがいい方だから、普通に女友達も多い。同じクラスの女子にキャーキャー言われないくらいには同じ世界にいるっつーか。
「無理。藍は無理。俺のだから無理」
そう言ってまた教室を出る。
後ろからギャーギャー言われるが無視。
恋愛しに来てるんじゃない、か。
いつになったら、俺はお前に告白させてもらえるんだろうな。